
くす玉の起源と現代への流れ
古代中国時代、香草や薬草を詰めた玉を邪気を払うために「薬玉(やくぎょく)」として用いていました。それが日本に伝わり、平安時代には「薬玉(くすだま)」として貴族や宮中の間で使われるようになったと言われています。
長い時を経て、薬玉は邪気払いそのものから装飾的な意味をもつようになります。特に江戸時代以降、香草や薬草を詰めるよりも装飾品としての使用が主流になっていきます。特に現代のような紙や布で彩られた装飾品としてのくす玉が広まったのは明治以降と考えられています。
さらに近代になり、中から紙吹雪や垂れ幕で派手な演出とともに玉を割って祝賀行事を盛り上げる「割りくす玉」が登場します。割りくす玉は近代に入ってからの発明と言えるでしょう。
くす玉を使用する人々の移り変わり
平安時代から江戸時代までは邪気払いや厄除けとして、薬草や香草を詰めたものを「薬玉」と呼び貴族や宮中に関わる人々が使用していました。
江戸時代以降、この薬玉が装飾品としての価値を高めはじめます。一般の人々へ薬玉が浸透し、さらに明治以降に開発された「割れくす玉」の登場でイベント性が付加されより一層多くの人々に使用され始めます。
現在ではお店を新しくオープンする商店や飲食店、ビルや施設の施工をお披露目する企業や団体、卒業式や運動会などを行う学校、地域のお祭りやイベントを行う地方の団体、結婚式や誕生日会など個人の使用など広く様々な人々がくす玉を使用しています。
くす玉の未来と可能性について
平安時代から私たちの生活に根付いてきたくす玉ですが、この先の未来にどのように影響を与えてくれるのでしょうか。現代ではあらゆる祝賀行事に欠かせないアイテムとなっているくす玉ですが、様々な価値観や問題、進化を抱える社会の中でくす玉も進化を遂げると予想されています。特にデジタル分野との融合は有力な進化の一つとして注目されます。ARやプロジェクションマッピングの活用でより派手で効果的な演出が期待できます。また環境問題もくす玉を取り巻く環境を変えていくでしょう。再生紙を使用した紙吹雪や本体の素材自体も自然に還るものになるなど、地球に優しい素材になっていくことが予想されます。また国際的な発展も注目です。オリンピックなど様々な国際大会でくす玉が使用されることで今まで知られていなかった国からのオファーも期待できます。
これからも私たちの生活を盛り上げてくれるツールであり続けることは変わりないでしょう。